美しい女性とまばゆい金。
細やかな可愛いらしい模様に心をくすぐられる。
象徴派、アール・ヌーヴォーの時代に生きた世紀末ウィーンを代表する画家グスタフ・クリムト(1862〜1918)
国内で開催された展覧会のなかでは過去最多となるクリムトの油彩画25点以上、そして全長34メートルに及ぶ壁画≪ベートーヴェン・フリーズ≫の複製などが展示されていました。
美しい女性
代表的な作品であり、今回の展覧会のビジュアルとなっている≪ユディト≫や≪女の三世代≫
≪ユディト≫
美しい未亡人であり、敵の司令官の寝首をかいて祖国の危機を救ったヒロインが描かれています。上半身に透けた布だけをひっかけ、やや顎をあげてこちらを見つめ、口は半開き。官能的な姿をしています。
≪女の三世代≫
お母さんが愛しそうに抱く赤ちゃん、その隣に立つ老いた女性。女の一生を三段階にわけて描いている。
こちらの作品はもちろん素敵なのですが、白いシフォンのブラウスを着たボブの女の子が横を向いて佇んでいるクリムトの姪を描いた≪ヘレーネ・クリムトの肖像≫が個人的にはグッときました。
クリムトは母親と姉妹とともに暮らしていたそうです。また独身を貫いていましたが、14人の私生児をもっていました。多くの女性を愛し、女性の美しさを日々目の当たりにしていたからこその表現なのかもしれませんね。
まばゆい金
父親は金銀細工師で、クリムトも美術工芸学校では金属彫金を専門に学んでいました。金工師として活動し、美術工芸品のための銅製彫金を手がけていました。
今でもジクレーの一部に彫金の技法を施すことがありますが、クリムト作品の金の使い方、繊細な模様の繰り返しから細部までのこだわりを感じます。
東京都美術館 クリムト
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